ベトナム技能実習生の夢を奪う日本人

夢見て日本に学びに来たベトナム技能実習生。

その夢の多くは私達日本人が奪っていることを知った。

技能実習生制度とは本来、途上国の「人づくり」に貢献するという制度。

国際貢献という名目。

その表向きの趣旨とは裏腹に、実際は人口減少や高齢社会のため、日本人が雇えず、人手不足の中小企業の労働者確保のシステムとして機能してきたという。

実際に技能実習生に課せられるのは低賃金長時間労働という深刻な問題である。

決められた給与ももらえない場合もあるという。

更には、企業は技能実習生を企業に派遣した管理団体に対して、就労状況を報告する義務があるそうだが、企業が管理団体に不当に働かされている場合でも嘘をつくように促されていることも多いらしい。7割以上が法令違反だという。

金銭に苦しむ実習生たちは、止むを得ず管理団体を離れ、その挙句、裏社会に勧誘され、闇金融や売春など斡旋などといった闇のビジネスに手を染めさせ、億を超える収入を得ている日本人がいるという。

彼らは自分の未来のために日本を選んでくれたのに、、、

また、ビザの関係で保険証(国民健康保険)持てない実習生もおり、高額な医療費がかかってしまうことにより、病気にかかった場合でも、治療を受けることが出来ず我慢した結果、治る病気も治らなくなり、祖国に仕送りをするはずだったにも関わらず、逆に援助を受けることになり、結果的に日本に来たことにより祖国の家族に迷惑をかけてしまい、病を負ったまま帰国せざるを得ない実習生も多いという。

彼らは家族の幸せのために日本を選んでくれたのに、、、

実習生は日本に来日するにあたり、ただでさえ高いハードルがある。

まず「日本語訓練センター」(全寮制)に入る。

朝6時くらいから夜11時くらいの消灯まで、プログラムが詰まっており、外泊が許可されるのは、土曜日の午後から日曜日にかけてのみで、ほとんど缶詰状態の日々を過ごすという。

日本語教育と並行して厳しい礼儀礼節の指導(はきはきとした態度、笑顔での返事、自然に謝る姿勢、疲れていても緊張感をもつようになど)を行っているそうで「我慢の訓練」と呼ばれているらしい。

更には、実習生は貧しい環境であるにも関わらず来日を果たすためには、送り出してくれた会社に手数料や保証金など、合わせて平均80万を借金して日本にくるという。

夢見て日本に学びに来たベトナム技能実習生。

「日本に失望した」と言って止むなく帰国する。

彼らの夢の多くは私達日本人が奪っている。

日本での不当労働がSNSで拡散され、近年の経済悪化(円安)が追い討ちをかけ、世界から見る日本の魅力度が大きく低下している。

人権侵害であるとの声も上がっており、国際評価も年々下がってきている。

「いい国日本」「先進国の日本」の姿はもうない。

未来を生きる子どもたちのために、日本の信頼を取り戻さなければならない。

金藏直樹