酸性化する海がもたらすもの
今、海洋酸性化によって海の生き物の身体が溶けているそうです。
北極海に生息するシーバタフライを始めとした翼足類。
彼らは炭酸カルシウムの殻を持っているのですが、近年、その殻が溶け始めているそうです。
二酸化炭素によって酸性化した北極海の水によって溶けたそうです。
翼足類は、海に生息するあらゆる生き物の餌なので、減ると海の生態系が崩れてしまいます。
二酸化炭素は、海水温度が高くなると海水に溶けやすく、海上から海底にかけて上から下に溶けて広がるそうです。
南極海においても翼足類が溶け始めており、小さな生き物(子ガニ、貝なども)も溶け、翼足類を食べる鮭自体も減ったりしているそうです。
東京湾でも北極海と同じくらい酸性化が進んでおり、更に夏場では、人間が排出して海底に堆積した汚泥を微生物が分解して二酸化炭素を海中に放出しているそうです。
2100年には20%の海の生き物が死滅してしまう可能性があるそうです。
酸性化した海を戻すには
約5600万年前、かつて海が酸性化した時代ありました。
海底が裂けてマグマが噴出。
大気中の二酸化炭素は4倍になり、現代の気温より5度上がった状態だったそうです。
酸性化してしまい、元の状態の地球に戻るのに17万年かかるそうです。
なぜ酸性化後に元の状態に戻れるのかを調べたところ、植物プランクトンが爆発的に増えたことが分かったそうです。
植物プランクトンは、光合成により大気中の二酸化炭素を取り込み、それを海中の生物が食べ、フンとして二酸化炭素を海底に封印しているようです。
この循環は生物ポンプと呼ばれているそうです。
現代では、この原理を生かした活動として、
●アマモの育成
アマモは二酸化炭素を体内に吸収し、枯れた後は海底に堆積し炭素を封じ込める
●マングローブの植林
マングローブ(マングローブとは、海水と淡水が混じり合うところに生息する植物の総称)は二酸化炭素の吸収力が地上の植物より高く、丈夫な葉っぱは水に落ち、分解するためにプランクトンや微生物が多くなります。それを捕食するために、小魚やエビ、カニ、貝などの生物が集まってきます。
●ジャイアントケルプの育成
ジャイアントケルプと呼ばれる巨大な海藻は1日に30cmの速さで伸び、30mにまで成長する特性を持ちます。
最終的に海藻は、自然にちぎれて深海に沈み、深海に炭素が運ばれ、何百年も貯蔵することができるそうです。
これらにより年間24億トンの二酸化炭素を削減できるそうなのですが、今、人間は年間187億トン増やし続けているそうです。
大いなる自然が地球のバランスをとるために作り出した生物ポンプ。
それを上回る二酸化炭素排出量。
結局は、私達一人一人が二酸化炭素の排出を削減するしかないと感じました。